線猫日記

音楽鑑賞と日常と感情

世界電球



世界電球

Twitterで紹介されているのを聴いて音源をすぐに入手した。裏表のない直球に鳴らすサウンドが懐かしくもあり、原点にハッと引き戻されるような感覚。それぞれの音がはっきりと重なり合うインディーズサウンドに心が躍るよう。意味深だが複雑さを感じない文学的な表現、繰り返す言葉が特徴的。

f:id:rvyfcloi57gdjm1:20211023083409j:image『定義として』
~収録曲~
エジソンが死んだ夜」インパクトのある曲の最初の35秒程に語るように呟き、そこから一気に駆け抜けるように鳴らしていく。エジソンのように天才で世界に影響をもたらせず、僕らは平凡に生きて死んでいく。ただ自分の満足するように歌を歌っていくだけ、と個人的に聴いたそんな感覚。
「誘拐」不穏なタイトルだが、そのままの意味ではないはず。『君はいい子だからこっちへおいで』と何十回と繰り返す言葉が頭の中に残る。そっち側に踏み入れることに理性が足踏みしつつも、そっち側へ誘拐されてしまうのかな、と。
「灯す」疾走するようなバンドサウンド、こういうの一途な音色が好きでクセになる。取り巻く世界は青く広くも、個人は狭く灰色で、誰しもがそんな感情を抱えて藻掻いているのかなと。負の歩みを喜びの歌として捉えられたら。
「フォーゲッティング」時の流れを嫌でも感じさせるような心の変化を描き、それでも築いてきたからこそ在る今の感情を無駄にしないように。穏やかに歩くようなメロディが走るように変わり、そのまま優しく歌を乗せていく。
以下タワレコから抜粋「「定義として」と綴るタイトルの通り、彼らの音楽性と世界観をこの"世界"に記すには、十分すぎるほどの4曲で構成された一枚。どこか心地よい疾走感を含ませ、時に物語を綴るかの様に文学的で、時に叫ぶ様にメッセージ性も含んだ楽曲が連なる。世界電球という名の通り、この一枚を持ってその世界を照らせ。彼らの「定義」という名の世界線は此処に在る。」

「誘拐」MVwww.youtube.comf:id:rvyfcloi57gdjm1:20211023083418j:image『すべての愛しい別れに告ぐ』
~収録曲~
「春になったら」春という季節での、君を絡めた美麗と悲哀をそのままに歌うよう。個人的に1つの解釈にとどまらない詞が想像を膨らませていく。流れゆくすべてを受け止めて『僕らの音楽を聴けよ』と訴えるよう。気づけば過ぎ行く季節のように疾走するようなメロディを鳴らしていく。
「君に雨は似合う」出だしのフレーズからノッてしまいたくなる。リズミカルなロックをかき鳴らし、サビからの鋭さに惹きこまれていく。叙情的に描く何気なく過ぎていく日々に、ふと雨で思い出す君のことのような。
「パレット」…1,2,1,2 から重なるサウンド。全体的に緩やかだが強弱の変化を感じる。『パレット残しておいて』とそれぞれにしかない色の表現が好き。背景すべてを掴ませないような人の繋がりを描いているのが聴き手をかき立てる。
「すべての愛しい別れに告ぐ」あなたへの私の繊細で憂いな心を表現するように、静かに重く歌い奏でる。去っていく側よりも残される側が一番つらいと感じる。言葉の韻と最後の一文の想いが好きになる。
以下タワレコから抜粋「一曲目のイントロにやられ、またその「僕の音楽を今聴けよ」とド直球なメッセージをより深みと哀愁感を持たせたメロディラインに乗せて、とても絶妙に心地よく心の芯に響いてくる。そして続く「君に雨は似合う」と1stからの持ち味であるその文学的世界観を施したままで、よりメロディと曲構成のセンスがより輝く一曲に映る。後半のギターソロがとにかくエグい。ラストの表題曲に繋がる、一枚の作品としての起承転結も素晴らしく色濃く出ており、完璧な一枚。世界電球が本当に世界を照らす未来は、きっとそう遠くない。」

「春になったら」MVwww.youtube.com

「君に雨は似合う」MVwww.youtube.com

「パレット」LVwww.youtube.comf:id:rvyfcloi57gdjm1:20211023083414j:image『音楽は世界を変えられない』
直球タイトルの配信音源、サウンドも貫くようなバンドアンサンブルでかき鳴らす。音楽に対する純粋な思いを吐き出しているロック。音楽は何かを直接的に解決できないかもしれないけれど、音楽は自由で、誰かを救い、人それぞれによって感じる音の色が異なるかけがえのないものだと思う。この曲を聴いて考えてしまう音楽。