線猫日記

音楽鑑賞と日常と感情

天気の存在する理由

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モダーン今夜

知らないにはもったいなさすぎる『天気の存在する理由』。バラエティに富んだアルバムだが、ジャズやメロウな雰囲気の好む人にとりあえずこの1枚だけでも手にして聴いてほしい。個人的なイメージは江の島でその地で聴きたくなる気持ちになる。たぶんアートワークの力も大きい。ボーカルは永山マキという方でソロでも音源をリリースしている。以下HMVから抜粋「イマジネーションを掻き立てるヴォーカル永山の詩世界はさらなる広がりをみせ、シェイプアップされたバンドが放つタイトなグルーヴと深くシンクロする。ジャケットのかもめのように大空を自由に伸びやかに泳ぐモダーン・サウンドを追求した力作

「かもめ島」PV

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『天気の存在する理由』
~収録曲~
1.かもめ島
挨拶として十分な初曲。ゆらゆらと揺れるようなメロディに優雅なストリングスやコーラスなど豪華に音が組み込まれている穏やかでいて爽やか。鮮やかに彩る音色の移り変わりを。物事の1つ1つに理由があって、辿れば複雑に絡まっている必然がそこにあることを。
2.オトナ
ビートを刻むロックナンバーで勢いのある螺旋のように絡まるメロディが積極的に鳴らしていく。誰もが感じる大人になるときに考えなくてはいけない感情、距離を歌う。自分は昔とあまり変わらない軽さを忘れずにいたいが、周りはいつの間にか重く考え生きているように感じるのがどこか不安で寂しくなってしまう。
3.RED
少しダークさを感じさせるソウルなミュージック。個人的にもよく聴いており、ベースの存在感と時折のコーラスの響きが刺さってしまう。内容は正義の味方の苦悩を描いているが、これほどのメロディで表現するのがズルすぎる。
4.熱帯雨林コーク
陽気さを感じる盛り上がるコーラスから始まり、全体的にリズミカルで明るい雰囲気を鳴らしている。が、内容は海面上昇で沈みゆく土地の事が含まれており、私たちも考えなくてはいけない現実がある。
5.真夜中の鼓笛隊
風変わりな出だしから始まり声、音のアレンジが贅沢さが印象的な曲。本人曰く、「ラテンやマーチやフォービートなど、くるくる変わるリズムに、 テンポの早い鼓笛隊アレンジ。」で、確かに様々な要素をふんだんに盛り込んだメロディ。かつて志していたものを、目の前でキラキラと魅せられることへの心の揺らぎのような。
6.クラウン
「モールス信号モチーフの無機質なサウンドと ストリングスとギターが印象的なモダーンには新しい、スパニッシュソング。」の曲らしい。1つの壮大な人生を描いているような美しいサウンドを奏でている。が、歌詞は分かりやすい無関心な君とおどける僕の関係。
7.潜水艦ソーダ
力が抜けていくような、ゆらゆらと揺れるようなメロウに溶けていきそうな感覚。グルグルと繰り返す言葉が深い海と潜水艦のデフォルメされたイメージが脳内に湧いてくる。全体的にほのぼのとした詞の中で『色物扱い』という初めの言葉だけが合わない違和感を覚え、強烈なキーワードのようにも思える。
8.ちょっと酔ってただけなのさ
ジャズ、ブルースの雰囲気の強い派手なサウンド。『ちょっと酔ってただけなのさ』を酔うように口にしているのが、いかにもらしい。ただ歌詞を黙々と読んでいると、女性を裏切る言い訳も甚だしい最低な男でしかないのがどこかシュール。
9.橙
明るく爽やかな構成、出だしのラララのコーラスが美しくリズミカルなサンバのメロディが奏でられる。『君に届け』と何度も繰り返すほどの想い、君がいたことの繋がりや気持ちをいつまでも忘れずに。
10.天気の存在する理由
心の幻想世界に浸るようなストリングスとピアノが美しく、しっとりしたワルツ曲に乗せ芯のある声が寄り添うような。ありのままの自然を描いているように感じたが、曰く「花はひとりでゆれているのではなくて ゆらす風の存在があるからであって、 つまり、なにか原因があって結果があるという。」ということが含まれている。知ると深いなと考えてしまう。

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