線猫日記

音楽鑑賞と日常と感情

aoie us fear

アオイエ アス フィア

下北沢のライブハウスで演奏を聴いて音源を購入。迫力のある気高く歌うような声を響かせながらアグレッシブに、時に奥行きのある演奏を鳴らす。独特で灰色に綴る言の葉が憂いに鋭く研ぎ澄まされているよう。リリースしている音源は全て配信で聴けるのでよければ。以下TuneCoreから抜粋「暗い、辛い、悔しい、苦しい、虚しい、 閉じる意の「ウ」を母体とする。 明日への不安とその恐怖を鳴らす。」

aoieusfear.theshop.jp

f:id:rvyfcloi57gdjm1:20210715192320j:image

『シークエンス_1』
〜収録曲〜
「悲劇的アイロニー」疾走する音を鳴らし爽快に歌う中、軽々しく愛などと訴えたところでドロドロとした実情は皮肉めいていて目を背けたくなるもの。何も変わらないことなんてないと祈りたい、そんな最後の言葉に救われる。

「I am. I was.」揺られるように構成され陰りのある描写。掴ませにくい詞の中に私自身の辿る道を示すよう。繰り返し響かせる声の『So I am. So I was.』が印象的に残る。

「大好き」圧倒されるようなアグレッシブなサウンドが支配する。変拍子の構成に、どこか異常で満たされない想いが音にも表現されているよう。最後の『大嫌い』の羅列が"大好き"とは裏返しに並ぶ。

「坂の途中」さりげなコーラスに穏やかに淡々かつ繊細に紡ぐ言葉と音。書き手の心を切実に描き歌うような栄枯盛衰の人生を、寂れた日々をそれでも愛して止まない坂の途中。

「悲劇的アイロニー」MVwww.youtube.com「I am. I was.」MVwww.youtube.com「大好き」MVwww.youtube.comf:id:rvyfcloi57gdjm1:20210715192324j:image

『シークエンス_1.5』
〜収録曲〜
「ガーネット」インパクトのある変幻自在なギターロックに美しく凛とした歌声がこの上なく響く。全体的に強烈な構成で曲調が変化し続け、間奏の緩急の印象も耳に残る。諦め、足掻き、受け入れ、憂い、そんなものを混沌に表現したような。

「絵画教室」過去を悔やんで揺らぐ心が色を塗り替えられたらと、強弱のついたサウンドにさりげなコーラスが美しく重なる。嘆いたところで塗りつぶせない現実に『あの時こうしてれば』と率直な言葉が刺しにくる。

「ガーネット」MVwww.youtube.comf:id:rvyfcloi57gdjm1:20210715192314j:image

『シークエンス_2』
〜収録曲〜
「X」重みのあるずっしりとした演奏に、凛々しく高鳴るように歌い繊細に響く声が強く印象に残る。何とは言わない抽象的に生き方の在り方というものを考えさせるよう。いつか自覚しなくなることの罪。

「影踏み」リード曲と思うような複雑で捻れた構成が陰りを帯びながら疾走し続けるよう。これほどのサウンドのセンスが抜群で、歌声の色と鮮やかに重なる迫力。聴く程に墜ちる黒に染まっていくような感覚。

「三月の愚か」はっきりと歌い伝える声とギターフレーズの鋭さが交互に突き刺すよう。知らない故の残酷な救いの手を、愚の骨頂は見てられない程の。

「擬態」消えいりそうな声に微かに弾く音色。歌い方に感情がこれでもないくらいに込められ、心が痛くなる直接的な言葉。中盤から轟く音に変わり、心の奥を吐き出した塊を表現するよう。

「影踏み」MVwww.youtube.com「擬態」MVwww.youtube.com


余談だが、上記のジャケットは『シークエンス_1.5』と『シークエンス_2』の楽曲を収録したものとして、新たにCDと配信でリリースされている。