線猫日記

音楽鑑賞と日常と感情

爆走コアラ

広島県福山市ポップロックバンド。

観光のついでに、最後のアルバムの『STORY』のレコ発を聴きに、岡山県の福山Cableというライブハウスに行った。アメノイロ。やatelier roomも出演していた。声も演奏もライブハウスでもう聴けないのが残念でならないくらいのセンスである。一地方のインディーズバンドとして終えてしまうのは作品を残している。

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二次元少女

~収録曲~
「二次元少女」「ログアウト」

爆走コアラの最初の音源。「二次元少女」は少しコミカルさを感じる内容。この音源以降はクールに変化していくので、こういう雰囲気の曲は珍しいかもしれない。淡々とした歌にミュージックの軽さとRPG風の内容と画面越しの君を想い歌うユニークなポップさがある。
「ログアウト」対比するように理想を歌うような1曲目からログアウトした現実を歌うよう。軽快に鳴らすメロディに初々しさを感じる構成。『明日になったら僕が変わっていたらいいな』と願い、変わってない明日にリアルを感じさせる。

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『幻想』
 ~収録曲~
「幻想」「秋は千と巡る」「ココロトビラ」

「幻想」イントロからロックなかっこよさを鳴らし、メロディや淡々と歌う声がクールである。幻想や夢の世界で感じるソレを抽象的に描いている。ただ感覚でなんとなく掴めればいいのかなと思う曲。
「秋は千と巡る」響く歌声とサウンドインパクトがあり、またメロディの奥ゆかしさも伝わるよう。『黒髪乙女』というワードを中心に詞の背景と世界観を表現しているようで情景想像が働く。
「ココロトビラ」ギターイントロの出だしがシンプルにかっこいい。サウンドの疾走感が気持ちよさのあるバンドらしい曲。君への想いが強く伝わるようにすべてを受け止める心をまっすぐに言葉にしている。誰かに想われていることの幸せを。

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『白紙の答え』
~収録曲~
「白紙の答え」「ログアウト」「虚ノ空」「ヒーロー」

「白紙の答え」爽快に鳴らす涼しさを感じるようなメロディ。自分が分からずに苦悩している人達に届いてほしい曲。一歩を後押ししてくれるような優しい言葉とサウンド。最初の『自分自身を苦しめる魔物に囚われている』が刺さる。
「ログアウト」再収録の音源。アレンジや厚みが増していて聴き比べるのが楽しい。CDとして全体的にサウンドのクオリティが上がっているように感じる。
「虚ノ空」前奏の一体感のあるバンドサウンドの心地よさが沁みる。打って変わって歌い出しは反響するような優しいサウンドの中で淡々と歌いあげる。サビからの伸びと単調なフレーズがずっと聴いていたくなる。
「ヒーロー」程よいテンポで奏でられる聴きやすい曲。ヒーローを題材にした曲はたまに聴くことがあるが、子供が思い浮かべたようなヒーローを描くよう。誰かの為に、誰かに愛されるような歌を歌えたらいいなと、自分らしいヒーローを貫いている。

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STORY

~収録曲~
「未来飛行」「B.O.X」「トオイアイヲ」「七色の七日」「白紙の答え」「何も無い僕の街」

解散するのがもったいないと感じてしまうくらいの完成度の最後の音源。シンセのアレンジの存在感が大きく幅が広がっている。最高傑作のアルバムなのにMVすらないのが本当に、もう、、
「未来飛行」イントロから未来を感じさせるSF感がある。これから先の世界を思っているような私たちの未来を祈るように歌っている。この先に明るく希望に満ち溢れたキラキラとした言葉たちに救われそう。未来飛行士のメッセージという表現がエモい。
「B.O.X」からくりやおとぎ話を感じるようなフワッとした音色とフレーズを奏でる。歌詞やタイトルから来るイメージはおもちゃ箱の世界。世界に1人じゃないと寄り添うような慈愛を感じるよう。
「トオイアイヲ」アルバムでは個人的に一番聴いていると思う。序盤のピアノから始まり、全体通して聴いていて清涼感のある気持ちのいいメロディが繰り返したくなる。サビの『こぼれおちていく街並みを何回も何度でも探すよ』このフレーズを聴いてほしい。君を想う切実な想いが胸に刺さるよう。
「七色の七日」キラキラと単調に繰り返す電子サウンドが印象的。壮大なメロディと世界観が理想の幻想を描いているよう。旅のはじまりや美しい景色が思い浮かんでくるようで心が澄んでいく感覚。もう聴いていて綺麗な言葉しか出てこない。
「白紙の答え」再収録の音源。爽快さよりはシティっぽいサウンドで繊細に奏でている気がする。細かいアレンジが聴きどころでもある
「何も無い僕の街」はじまりが淡々とした優しいピアノの演奏と寄り添うように丁寧に歌う声で構成されている。寂しさや孤独を思わせるような夜を描き、歌と共にピアノの伴奏を静かに感じてほしい。ギター、ベース、ドラムは出てこない。

もう聴けないのが本当にもったいない。今からでも配信で出してほしさがある。